開催日:2023年5月18日(木)14:00~15:45 <Web開催>

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新たな都市創造会議は、"世界の未来への貢献"と"知と文化の創造"をビジョンに掲げて策定した「新たな都市創造プラン」を推進していくため、20164月に設置した「けいはんな学研都市」のネットワーク型運営体制です。

7回となる今年の総会は、初めてのオンライン開催となりましたが、国土交通省をはじめ国の9機関、11自治体、6大学、16研究機関のほか、財界・民間企業・地元まちづくり団体などをあわせて約70名の顧問、委員にご出席を頂きました。冒頭に関西文化学術研究都市推進機構の堀場理事長から、本都市の概況紹介とさらなる成長と発展に向けた提言を頂くよう挨拶があり、①本都市の近況として全体的な進捗状況と関係自治体からの近況報告、②イノベーション推進の進捗状況、③(仮称)けいはんな万博の状況報告をもとに、ご出席者からさまざまな意見交換が行われました。

「新たな都市創造プラン」は10年計画の8年目に入り、「イノベーションの強化」、「学術研究成果の広域展開」、「交通ネットワークの構築」の課題への取組を推進しています。今後も本プランに基づき、①地域の多様な企業や教育機関、団体等が相互に活用し合い、便利で住みよい持続可能な新たなまちづくりに向け、未整備クラスターの整備など積極的に取り組んでいくこと、②先端的な研究機関などが多数集積する地域の特徴を活かして、「けいはんなイノベーションハブ(仮称)」を構築し、「世界トップレベルの研究開発型オープンイノベーション拠点」形成に向けた取組を着実に進めること、③プラン最終年度となる2025年の「(仮称)けいはんな万博」の開催に向けて関係機関と主体的に連携を進めて取り組んでいくことが、本総会にて確認されました。その他、頂きました意見については、今後の都市運営の参考にさせて頂くとともに、具体的な提案については、関連機関と調整を進めてまいります。

<顧問・委員からの主なご意見要旨> ※同義の意見は割愛しています。

1.けいはんな学研都市の近況について

  • 災害対策や住民避難、健康長寿社会実現につき、学研都市が世界的な課題に貢献出来、実用化されていくまちになるため取り組んでいきたい。
  • 今後もこれまで取り組んできたスマートけいはんななどの事業に引き続き協力し、便利で豊かな住民の暮らしの実現や持続可能な社会を目指したまちづくりを行っていきたい。
  • 南田辺・狛田地区では学研都市のクラスターとして初めて、テーマ性を持ったフードテックの開発がスタートした。これから世界人口100億人時代の食をどう支えていくかを考える最先端のまちにしたい。
  • 木津東地区では、令和4年度末に土地区画整理事業組合が業務代行予定者の選定を行った。今後、事業協力協定を締結し事業認可申請、組合設立に向けて関係機関との協議を経て、当事業者が中心となって区画整理事業を進めていきたい。
  • 高山地区第2工区では、奈良先端大を中心としたデジタルやバイオなどはもちろん、それを超えた学際的な研究や国際的な動きが開発につなげられ、今の日本の肌感覚、現場の課題に答えられる、人の血の通った暖かな最先端技術やイノベーションが具体化され、またこの工区だけが盛り上がるのではなく、周辺地域にきちんとその恩恵が波及して行くような、いろんなインフラ整備や関係する取り組みを進めていきたい。
  • 京大農場は近未来の農を展望する食とエネルギーを作るグリーンエネルギーファーム教育拠点として活動展開しており、けいはんなのフードテックと足並みをそろえて展開してほしい。
  • 学研都市のまちづくりにはこれまで以上の産業集積と人口定着が必要で、アクセス改善に資する鉄道も欠かせない施策である。京阪奈新線延伸、JR奈良線やJR片町線の複線化に向けて連携していきたい。
  • 今後も新名神高速道路の大津~城陽間などと合わせ、清滝、生駒道路など関連する道路ネットワークの整備について、着実に進めて行きたい。
  • けいはんな学研都市は周辺建物が整備されつつあるが、一番重要なのは相互作用で、それができると住民のコミュニティが充実する。このまちに住んでよかった、と思えるように、住民とその地域の関係性を良くしていきたい。
  • 最近、データセンターばかり大きな建物が立つ。データセンターでは人が集まりにくいが利用価値もある。いわゆるデータサイエンスをこの地域の特徴にしてしまい、地域を巻き込んで充実させていく施策を打ちたい。

2.イノベーション推進について

  • けいはんな学研都市においては、スタートアップが続いて生まれ、成長サポートする拠点の形成に熱心に取り組んでいる。さらに、KGAP+のようなグローバルにスタートアップ連携を促進する取り組みにより、引き続きけいはんなのイノベーションを推進し、さらに世界の名だたる拠点になるよう期待している。
  • 情報通信分野において大変重要な研究拠点があり、AIの分野については、多言語音声翻訳技術などの研究開発とその社会実装の取り組みを進めている。日本におけるAI 自然言語処理の拠点として、これまで大きな役割を果たしてきており、今後も一定の役割を果たしていく可能性があるものと考えている。また、次世代の情報通信インフラであるbeyond 5Gにかかる取り組みを含め、けいはんな学研都市における研究開発がより一層進むことを期待している。
  • イノベーション推進の観点では、JSTで共創の場の形成支援プログラムをしており、引き続き支援の充実を図っていきたい。
  • 地域の特性を生かした取り組みの推進と研究機関や企業などが多数集積する特性を活かして、世界トップクラスの研究開発型のオープンイノベーション拠点の形成に向けた取り組みを引き続き進めていくことを期待している。

3.(仮称)けいはんな万博の状況について

  • けいはんな学研都市のさらなる発展と、有している先端技術を世界にアピールする絶好の機会になるものと大変期待をしている。関係者が一体となって、こういった取り組みを進めていくことが大変重要である。
  • けいはんな万博の開催まであと2年なので、コンテンツの具体化や、限られた予算人員の中でのイメージがわくような素案を作成して頂きたい。日本全国の研究開発拠点や海外の連携拠点を結んで巻き込むような、けいはんなを中心とする広域的なつながりを意識したような企画を期待している。
  • けいはんな地区で遠隔操作型のロボットを使って、お祭りのようなことができないか計画している。

4.その他(けいはんな学研都市について)

  • けいはんな学研都市については今後も、わが国の成長やイノベーションを牽引する非常に大事な拠点として、しっかりと位置づけていきたい。
  • 今後の税制要望を議論する必要性を立証するため、一番必要なのは税制特例が措置された効果として新しい立地施設がどれだけ増えるかである。新規施設の誘致ができるよう制度の周知、税制効果について積極的に情報提供してほしい。
  • けいはんな地区には素晴らしい国会図書館があるが、公共交通機関で学生が大学から行こうとすると時間がかかりすぎる。図書館までの交通インフラをどう改善するか。例えばRDMMとかプロジェクトがあるが、潜在ニーズを考えて実証実験等々進めていくことによって、学生たちに住みやすいけいはんな学研都市になるようにできないか。この地区に関しては、高齢者のためだけじゃなく、学生のためにも自動運転等々のインフラが必要ではないか。
  • Medicine-Based Town(MBT)」(医学を基礎とするまちづくり)構想を実現しようとしている。地理的に離れていても、けいはんな学研都市と理念が共通の小けいなんなを各地に作り、本家のけいはんなと連携して、大けいなんなが形成されると素晴らしいと考えている。
  • けいはんなの中に奈良をどういう風に取り込めるか。歴史や文化を世界にPRすることがこれからの取組ポイントになる。クラスター整備など個々の取組はいいが、もっと大局的な見地からけいはんなのポテンシャルの高さを打ち出すことが必要。奈良は神社仏閣や法隆寺など豊富な地域資源を抱えている。それらをけいはんなにうまく取り込めれば、世界への知名度が十分に上がる。

以上