開催日:2022年5月31日(火)書面開催DSCN1185.jpg

新たな都市創造会議は、"世界の未来への貢献"と"知と文化の創造"をビジョンに掲げて策定した「新たな都市創造プラン」を推進していくため、2016年4月に設置した「けいはんな学研都市」のネットワーク型運営体制です。学研都市推進機構理事長を会長に、学識経験者、国、公共団体、研究機関、大学、企業、経済界、まちづくり協議会など約80機関により構成されています。

今年の総会は5月31日付にて書面で開催しました。主な議事は、①けいはんな学研都市の最新の取組状況、②イノベーション推進部会と都市形成・運営部会、の報告についてです。

「新たな都市創造プラン」は10年計画の後半に入り、「イノベーションの強化」、「学術研究成果の広域展開」、「交通ネットワークの構築」の課題への取組を推進しています。先端的な研究機関などが多数集積する地域の特徴を活かした「世界トップレベルの研究開発型オープンイノベーション拠点」形成に向けた取組を着実に進めるとともに、プラン最終年度である2025年には「大阪・関西万博」開催を機に、「けいはんな学研都市」の認知度向上に期待が高まっています。

DSCN1188.jpg今後も、「新たな都市創造プラン」に基づき、地域の多様な企業や教育機関、団体等が相互に活用し合い、持続的な「高度な都市運営」と便利で住みよい新たなまちづくりに向けて一体となって取り組んでいくこと、けいはんな学研都市が取り組む重点目標や各課題については、引き続きイノベーション推進部会や都市形成・運営部会等で共有し、着実に取り組みを進めていくことが、本総会での意見集約にて確認されました。特に重点目標の一つである2025大阪・関西万博との連携については、研究開発推進ワーキングで取りまとめた全体構想に対し期待の意見が確認されたことから、より検討を具体化していくための運営体制として、けいはんな万博(仮称)開催準備委員会を組織化し推進していくことになりました。その他、頂きました意見については、今後の都市運営の参考にさせて頂くとともに、具体的な提案については、関連機関と調整を進めてまいります。

<顧問・委員からの主なご意見要旨> ※同義の意見は割愛しています。

1.けいはんな学研都市の取組について

  • 全体的には、「けいはんな学研都市」の独自性や地域性を出すための工夫が随所に盛り込まれ、大変良かったです。
  • けいはんな学研都市は、地域に集積する多様な関係機関が広く連携し、「新たな都市創造プラン」に基づく取組の実績を、着実に積み重ねられています。
  • けいはんな学研都市のような場所だからこそできる、将来の日本の生活スタイルの最適解を見つける重要な試験なので、今後とも注力していただき、良い部分のみならず悪い部分も含めてしっかりとした評価を実施していただきたいと思います。
  • けいはんな学研都市におきまして、これまでの多方面な取組の成果として、新たな都市創造が着実に推進していることに改めて敬意を表します。現下、新型コロナ感染症により、社会環境・社会構造が劇的に変化しているものと認識しております。この変化に適切に対応していくことが、目下の最大の課題だと認識しております。 引き続き、この会議が様々な施策のシナジー効果発揮に向けて積極的に取り組み、京阪奈エリアの発展に寄与することを期待しております。
  • 「新たな都市創造プラン」に賛同するとともに、けいはんな学研都市にR&D拠点を置く1企業として、ビジョン実現に向けた取り組みに対し企業運営の実態に即した意見を行います。
  • けいはんな学研都市が取り組む重点目標については、産学官民連携により、日本の未来を創造し、世界に貢献できる都市となることを目指して構想が進められてきましたが、昨今のコロナ禍における「新たな日常」や、少子高齢化・人口減少を迎える我が国の社会的課題に対しても積極的に取り組んできたところであり、この取組により、便利で豊かな住民の暮らしの実現により、学研都市の住民が住みよいまちとして享受できる持続可能な社会を目指したまちづくりを期待しております。
  • この1、2年、新型コロナウィルスの影響を受け、様々なイベント、総会、セミナーが延期や中止、オンライン、ハイブリット開催への変更など対応に苦慮されたと思います。しかしながら、マイナス面だけではなく、例えば遠方の方でも参加可能といったオンラインのメリットもあると思いますので、これからのウィズコロナの時代に向けて、これまで以上に内容が充実したイベント、総会、セミナーが開催される事を期待しております。
  • 京都や奈良は神社仏閣など古文化を訪れるのが大多数で、科学技術で来る人は少ない。文化と連携を図るべきである。
  • けいはんなを高齢者の文化活動の支援、社会参加の場にしたい。ウェルビーイング(医療、心理、社会参加)に京都の文化を。
  • 若者の目がけいはんなにもっと向いてもらえるようにすべき。そのためには、企業だけでなく若者、特に大学生のネットワークを作り、いろんなものを創作できるようになればいい。
  • 京都で未来につながるゲートウェイとして準備されているけいはんな学研都市で勝負する若い人たちにたくさん来てほしい。
  • つくばと比べて地域住民との距離が近い、けいはんなの特長を活かした施策は今後も重要でしょう。特に小中高生を巻き込んだ人材育成の展開は、毎年けいはんなでの開催が続いているMaker Faire Kyoto と連携することでより大きな成果を挙げることができると期待できます。
  • 大学の連携組織が今一つ明確に見えていない。点在する大学がどういう機能を果たし、学研都市をどう支えていくのか。
  • オックスフォード大学やケンブリッジ大学は歴史的な街にあり、郊外にサイエンスパークを持っている。イギリスの経済が凋落してもサイエンスパークで起業した企業が経済を支えた。けいはんなも似ている。

2.けいはんなインジケーターマップ2022について

  • けいはんなをご存じの方々に対しては、けいはんなの動き全体が把握しやすい資料として有用である。
  • 人口、特に従業者が伸びているのは結構なことで、他では見られない現象である。けいはんなが注目されているということであり喜ばしい。

3.イノベーション推進部会について

  • これまでの産官学の連携を一層強化し、「新たな都市創造プラン」の着実な推進により、デジタル田園都市国家構想を実現する地方発のイノベーションの創出や取組に期待しております。
  • 研究機関や企業などが多数集積する地域の特徴を生かし、「世界トップクラスの研究開発型オープンイノベーション拠点」形成に向けた取組が、引き続き、着実に進められることを期待します。
  • 我が国におけるAI技術の研究開発を担う「AI関連中核センター」の⼀つ(AI戦略2021 https://www8.cao.go.jp/cstp/ai/aistrategy2021_honbun.pdf 参照)として、世界トップレベル研究開発型オープンイノベーション拠点を目指すことについては、方向性が一致しており、望ましい方針である。
  • けいはんな学研都市は、世界トップレベルの国際研究開発拠点としての役割が期待されており、その実現に向け産官学の連携、オープンイノベーション、スタートアップ・エコシステム機能の強化等さまざまな活動を通じて研究開発をさらに加速させると共にその成果を学研都市全体へも波及させることで、ビジョンに掲げる「分散ネットワーク型社会拠点」の実現にもつなげていく必要があります。
  • 補助金を請ければインセンティブになる。

 

3-1.研究開発推進WG(通称:万博WG)について

    • チャレンジブルな取組であり、「大阪・関西万博」との連携を上手く図ることで、けいはんな学研都市の魅力と可能性を国内外に強くアピールできると感じました。
    • 世界に発信できるような先端技術、オープンイノベーションの創出に期待するとともに、国際交流を通じた多様性のある取組に期待しております。
    • 「大阪・関西万博」からの人の流れを作ることで、けいはんな学研都市の存在感を高める、またとない機会となるものと期待します。
    • 2025年の大阪関西万博開催を契機と捉え、関連自治体、博覧会協会、経済諸団体、多様な学術拠点等の連携がより一層強化され、先端技術の実装による「未来社会の実証」が加速されることにより、けいはんな学研都市の更なる進化が果たされることを期待します。
    • 万博を機にけいはんなをもう一段階レベルアップできるよういろんな施策を検討すべきである。
    • 遠くからでもけいはんなに来たいと思う何かがあればいい。アートと科学、食など上手に見せて、アクセスは一定の料金で乗り降りできる循環バスがあればいい。
    • けいはんな万博は先端性をもっと出していっていいのではないか。
    • 主催者が意図するものと観光客が求めるものを見定めて検討をすべきである。
    • 国際学会を開催するには3年~5年の準備期間が必要。万博に合わせるなら今から早目にかからないと間に合わない。
    • 集客ターゲットを明確にした方がよいのではないか。近隣住民向けイベントであるなら、ファミリーで楽しめるような宣伝広告の仕方や来場者へのインセンティブなど工夫した方がよい。テーマに掲げる言葉が難しく、寄り付きにくい印象を与えないように。
    • 万博開催時には、けいはんなが、関西各地の研究拠点とともに、科学技術の力で未来社会をイメージできるような企画を期待したい。その際、2030年以降の「SDGs+beyond」に対しても、けいはんながどのような貢献できるのか、立地機関をはじめとする関係機関が協力し、コンセプトをまとめていく必要がある。
    • けいはんな万博開催に向けた役割(案)と担当となる機関名(想定)を事務局から示していただいたが、それぞれの機関が具体的になにをやるべきなのか現段階では不透明である。今後、だれが何をすべきなのか、何ができるのか丁寧に調整をお願いしたい。
    • 準備委員会発足後は、(専門家を入れて)基本構想を早期に固めて、「実行委員会」で具体的な検討に入るべきと考えます。他のクラスターとの連携方法(WEB、移動手段など)についても早期段階で検討を行う必要があると思います。
    • 「けいはんな万博」のテーマ、サブテーマ、コンセプトは素晴らしいと思いますので、本会議承認後は、「ポスター」を作成するなどして機運醸成、周知徹底、周辺企業・研究機関・地域住民など多くの参加者を募るといった活動が必要と考えます。
    • 国際会議の誘致に関して、「テーマ」「対象」「規模」などを早期に具体化するとともに、対応体制(営業・運営要員、資金など)についても合わせて検討する必要があると思います。

 

3-2.新プロジェクト・グローバル連携・スタートアップ支援WGについて

    • 「(仮称)けいはんなオープンイノベーションハブ」に関しては、「けいはんな情報通信オープンラボ研究推進協議会 」と重なるところがあり、連携して進めるようなことができるとよいと思います。
    • オープンイノベーションの促進に向け、「けいはんなイノベーションハブ」に企業、支援機関のより多くの理解・参画を得て活動を活性化していくためのしかけを具体化していくことが大切と思います。例えば、スマート/スーパーシティ⇒デジタル田園都市国家構想等、けいはんな学研都市における各種プロジェクトについて、その内容や進捗状況を共有し、関係者の参画を促すような取り組みや、近隣大学と連携して様々な分野に挑戦する学生起業家を産業界へとつないでいくため「天の川+PLUS」を活用したピッチイベントを開催することなどを検討されてはいかがでしょうか。共創の場形成支援の「採択」に向けて、取りまとめ役の大学に加えて、産学官民の連携のため、「核」となる民間企業の参画が必要と考えます。
      また、他エリアとの連携として、グローバル連携(スタートアップ育成・支援)強化のための資金・人材などのリソース・体制の整備やスタートアップコンソ-シアム(大阪府市・神戸・京都)としての連携にも取り組んでいくことが必要であると思います。
    • 「(仮称)けいはんなオープンイノベーションハブ」について、けいはんな学研都市の特色を強調することで、他地区のイノベーションハブとの違いを明確に出来ればよいと思います。

 

3-3.データ利活用WGについて

    • データ利活用に関する事例や法制度などについて、自治体からのWG参加者を意識して、ベンダーを招いた自治体への導入事例が紹介されるなど、数多くの事例に基づき、様々な視点を踏まえた議論がなされ、大変有意義だと思いました。
    • データ利活用のプラットフォームを実際に動かすとなれば、大学生をうまく活用すればいい。
    • データプラットフォームについては、公共と民間をつないでデータ連携し、産業創出につなげる。
    • けいはんな・関西データプラットフォームについて、データベースの利活用を高めるためには、ユーザーインターフェースが大事なので、その部分でどのように工夫するかを検討すべきと思います。

4.都市形成・運営部会について

4-1.交通ネットワーク構築について

    • 交通の便が一番重要であり、けいはんな学研都市の最大の課題である。道路の整備はなかなか進まない。鉄道、バスの整備も含め、交通ネットワークの整備が依然不足している。未だ着手されていない事業について、ある程度絞り込んだ上で重点的な働きかけを行うことも戦略として必要ではないか。
    • 京阪奈新線の中心ゾーンへの早期整備など、都市全体の交通ネットワーク拡充策を検討。
    • 交通インフラについて、利便性向上など以前より要望があったと思いますが、様々な道路整備が進行、計画されており、期待している所です。一方、公共交通の充実においては、利用者の増加が不可欠と思いますが、新型コロナウィルス感染対策によるリモートワークの推進、増加や自家用車での通勤への切替など利用者が減少していると思いますので、その様な状況下でいかに充実に繋げるか今後の新たな課題であると思います。

 

4-2.未整備クラスター整備推進について

    • けいはんな学研都市においては、未整備クラスターの整備推進を今後も課題としてしっかりと位置づけていただくとともに、基盤整備の課題解決に向け引き続きお力添えをお願いします。
      また、当市では本年度、民間事業者として参画いただいた事業アドバイザーや立地等検討企業と連携し、個別地区まちづくり協議会の設立に向けた取組みを進めてまいります。そして、この動きと並行し、上位計画の見直しについても協議を進めていく予定です。重ねて、皆様のお力添えをよろしくお願いします。
    • 高山第2工区や木津東地区などの建設促進における課題を共有し、解決策を検討。
    • フードテックバレーは非常に興味深い。大学だけでなく学研都市のいろんな企業や研究機関と情報交換ができると期待している。
    • 都市形成の進捗については、着実に進んでいる印象を得ましたが、けいはんな学研都市の目標としている街づくりの全体像を見せれば、進捗度合い・達成度合いが分かり易いと思います。

 

4-3.スマートシティの推進について

    • スマートシティ実現に向けたさまざまな実証実験は素晴らしいと思います。けいはんな学研都市のような場所だからこそできる、将来の日本の生活スタイルの最適解を見つける重要な試験なので、今後とも注力していただき、良い部分のみならず悪い部分も含めてしっかりとした評価を実施していただきたい。
    • スマートシティが目立たない。会津若松市や藤沢市のようになればいい。住民の生活に変化があれば見えてくる。
    • 「スマートけいはんなプロジェクト」において、交通面ではMaaSのようなシステムとアプリが有用なように思います。その際、「けいはんなエリアに限定したシステムとアプリを作る」か、「京阪神の広域なMaaSの中に、けいはんなエリアの交通手段選択が含まれる」か、どちらも考えられます。京阪神の広域なMaaSが開発されれば、後者の方が有用に思います。なぜなら、ユーザーからすれば、地域限定のアプリが多数あるのは煩雑であり、どの地域においても広域MaaSアプリで共通して一括に検索・選択できる方が便利であり、使用価値が高いと推察されるからです。

 

4-4.ニュータウン活性化と地域再生について

    • 令和4年11月に平城・相楽ニュータウンのまちびらき50周年を迎えるにあたり、各機関と連携の上、記念事業や関連イベントを行ってまいります。これからのまちづくりの取組みを見せる場として進めて参ります。
    • 平城・相楽地区は、学研都市クラスターの中の一番最初に開発したニュータウンです。今後の日本は少子高齢化が進み、既存のニュータウンは順次種々の課題が出てくるところではありますが、当ニュータウンは学研都市発展のおかげで今も比較的順調に推移しています。今後衰えるようなことがないよう、いち早く活性化策を考えるため関係者の連携を進めてきました。
    • 当ニュータウンで出た活性化策は、今後順次まちびらきから数十年を経る他のクラスターにも資するものと思います。活性化策の一つとしてイメージ図で載せた「高の原駅前広場整備構想」があり、コンソーシアムで検討が進められます。

 

4-5.広報戦略について

    • けいちゃん・はんちゃん・なぁちゃんを自治体間の連携により共通のキャラクターとして採用されたことは画期的であり評価したいと思います。こうした取り組みが万博やデータプラットフォーム等につながることを期待します。
    • このエリアは修学旅行生が多いので、修学旅行生がけいはんな学研都市の研究成果をじかに見学・体験できる研修コース等があれば、広報活動として有効ではないかと考えます。
    • けいはんなの高貴な取組があまり知られていない。もっとアピールすべきである。
    • 外部の方々にけいはんなをアピールする資料(紙、データ)のさらなる充実が必要です。現状でも分野ごとの資料は多数ありますが、手軽に紹介するには少し重いようにも思います。
    • 本都市の認知度を高めるために、各種広報活動の充実、けいはんなLINKの参加企業の拡大に加えて、京都市内、大阪、首都圏などでの各種産業イベントでのPRを行っていく必要があるかと思います。本都市の認知度をインジケーターマップに追加し、取組成果を把握していくのも一案かと思います。

5.その他

  • これまで、スマートシティ実現に向けた支援などを行ってきたところです。今後も、昨年に掲げた新たな目標の達成に向けて、2025年に開催される大阪・関西万博も見据えつつ、関係機関等が一丸となってけいはんな学研都市の発展を推進していくことが重要と考えております。
  • 地域企業においてデジタル投資への気運が高まる中で、地域企業のDX実現を支援するため、産学官金の関係者が一体となった支援コミュニティが実施する各種活動を支援しています。また、地域の特性や強みとデジタル技術をかけあわせた新たなビジネスモデルの構築に取り組む先進事例の創出・普及への取組も支援しているところです。
  • 開館20周年の節目を迎えており、より多くの方々にその役割を知っていただくための行事を検討しています。引き続き、本都市に立地する調査研究図書館として、その情報ニーズに応えるべく図書館サービスを提供するとともに、資料のデジタル化・テキスト化、電子情報の収集・保存・利活用等の電子図書館サービスをさらに推進してまいります。
  • 社会環境・社会構造の変化に伴う、移動ニーズを的確に捉えた事業構造変革をしていく考えです。また、真近に迫った、JR奈良線輸送改善事業・東海道支線地下化新駅設置事業・北陸新幹線敦賀延伸などの事業を単なるインフラ整備にとどめることなく、新たな価値の創造に繋げてまいりたいと考えております。
  • 周辺地区については、地元自治体の自立都市づくりのため、学研都市建設促進法に明確に位置付けてもらえるよう協議中です。特に、筑波研究学園都市については、周辺地区について建設計画が研究学園地区とは別立てで独立して位置付けられていることから、学研都市についても周辺地区の位置づけについて検討していただきたいと考えていますので、情報の共有並びにご支援を今後ともよろしくお願いいたします。