~「新たな都市創造プラン」の実現に向けた本都市全体のネットワークハブ~

日 時:令和元年5月21日(火)13:30~15:40
場 所:けいはんなプラザ 交流棟3F 「ナイル」

 新たな都市創造会議は、"世界の未来への貢献"と"知と文化の創造"をビジョンに掲げて策定した「新たな都市創造プラン」を推進していくため、2016年4月に設置した相乗効果を生み出すネットワーク型運営体制です。

 今年の総会には、国土交通省をはじめ国の9機関、11自治体、9大学、18研究機関ほか、財界・民間企業・地元まちづくり団体など、全77機関から約130名にご出席を頂きました。昨年は、多様なミッションを持つステークホルダーによる取組成果を、けいはんな学研都市全体として俯瞰的に評価する指標群「けいはんなインジケーターマップ」を公表しました。今年は、新たに研究発表数やSDGs関連指標を加えるなど指標の充実化を図りました。また、本都市の進捗状況等近況報告を行うとともに、取り巻く国等の状況および2025年に開催が決まった大阪・関西万博の状況、最近のオープンイノベーションの取組成果等についても、関係機関から報告を行いました。

 さらに、関西文化学術研究都市建設促進議員連盟の細田博之会長や、京都大学総長の山極壽一顧問から、今後の本都市の発展や万博とのコミットメントに期待を寄せるメッセージも頂戴しました。国際高等研究所前所長で学術参与の長尾真顧問から「未来志向実験都市けいはんなの建設」、同現所長で理化学研究所理事長の松本紘顧問から「万博を契機に本都市の発展を加速させる良い機会」など、ご出席者からは積極的な提案や期待の声が相次ぎました。

「新たな都市創造プラン」の概要はこちら

インジケーターマップ2019はこちら

  • 出席委員からの主な発言要旨

    ○オープンイノベーションについて

    ・けいはんな学研都市からディスラプティヴなイノベーションが起こることを期待し、今後も協力して参りたい。

    ・産学官の連携に加えて市民を巻き込んだ研究開発の重要性が指摘されており、こうした議論も踏まえICTの研究開発を強化していきたいと考えている。引き続きICT分野の研究開発の推進を通じて、けいはんな学研都市の発展に貢献して参りたい。

    ・企業は海外の研究機関に投資している。如何に国内に向けていくかが、オープンイノベーションの推進に極めて重要。オープンイノベーションとは、新しい価値創造人材をどのように創るかということ。けいはんなは成功モデルである。

    ・けいはんなにお伺いするのは27年振り。集積が集積を呼んでおり、素晴らしい。けいはんなは先進事例で、学術研究機関、産業支援機関、地域金融機関のネットワークが存在している。本省・近畿局共々、支援を進めて参りたく、よろしくお願いしたい。

    ・産学官金の連携が重要で特に基礎研究から社会実装までのスピードを上げないといけない状況の中、イノベーション事業法人として会社組織を立ち上げる予定。これが実現すれば、けいはんなにも140を超える企業や研究所があるので、連携、技術移転等の共同研究を促進させていきたい。

    ・オープンイノベーションを進めるための設備が乏しい。ベンチャーでも大企業でもオープンイノベーションの機運が高まっている。オープンイノベーションを進めるためには、ある種の箱モノが必要と痛感し、KICKの中に「ロボット技術センター」を整備した。

    ・2つのベンチャー企業を作って製品開発、事業開発に取り組んでおりどんどん事業化に近付きつつある。けいはんな学研都市の立地機関の皆さまとは新しい展開もあるので益々連携を強めて、万博もあるので一層頑張っていきたい。

    ・オープンイノベーションに向けた取組では、コア技術の最先端を常に持っておかないと土台から崩れていく。10年後、20年後の世界を牽引できるような技術の開発に力を入れている。所帯が小さく我々だけで出来ないので国内外の研究機関、国内企業との連携に力を入れ研究開発に取り組んでいる。

    ・「けいはんなリサーチコンプレックス」のオーガナイザを仰せつかり、2年前に"けいはんなの誓い"を制定した。抜粋を読み上げると「真のオープンイノベーションを『けいはんな』で実現するために、複数の機関の共同事業の礎は『お互いの信頼』である。けいはんなRCでは、法を論ずる前に『人間として正しいこと』を共通の行動規範とする。真のオープンイノベーションをけいはんなで実現する強い意志と信頼をお互いに確認するため、これを"けいはんなの誓い"とする。」である。この精神を共通認識とした企業と人たちが集まってプロジェクトを行っている。

    ○大阪・関西万博について

    ・立地機関の方々にご参加頂き「けいはんなで万博を考える会」どのような取組を行うのか議論がスタートした。万博の機会を活用していかに「けいはんな」を発信し、更なる発展に繋げていくのか、「万博を考える会」を通じて、積極的に貢献して参りたい。

    ・万博開催の意義は大きく3点。1点目はSociety5.0を鍵としたSDGsの達成に貢献すること。2点目は次々と生み出されるアイディアが社会実装に向けて施行される実験場であること。3点目は日本の魅力を世界に発信すると同時に、東京オリンピック・パラリンピック後の日本を成長させる起爆剤とすること。大阪・関西は、約1時間圏内にけいはんな学研都市をはじめ健康医療の研究機関、企業が集積し、世界的なライフサイエンス都市圏が形成され高いポテンシャルを有している。

    ・万博を契機に「けいはんな学研都市」地域全体の推進を加速させるいい機会であると捉え、それぞれの立場で取組んでいこうとされていることを力強く感じている。当所も地域の重要な要素として役割を果たせるよう今後も努めて参りたい。

    ・関西地域の再浮上というのは、長年の我々の夢。けいはんな学研都市に新たな都市を創るというこの会議を中心に、今後も推進していって欲しい。そのうえで政府、国会議員の先生方のご尽力にも是非期待をしていきたい。またご出席の様々な産業ならびに研究機関が力を合わせていくということに、当所も役割を果たしていければと思っている。「ここから新しいことが始まる。」という息吹を感じられるような議論をして頂ければ有り難い。

    ・けいはんな学研都市を訪れる世界の人々に、けいはんな、関西、日本の産業技術や製品について、案内、紹介する機能が必要ではないか。世界の国々から日本を見た時、日本が世界に貢献できる分野はまだまだ多くある。大阪・関西万博を訪れる世界の人々に対して、日本の強い技術や実績を知ってもらい世界との交流が更に発展する仕組みづくりが必要。

    ・2025年は、けいはんなの第4ステージが終わる頃で、第5ステージに向けて何を考えていくのか検討を始める丁度良いタイミング。万博が万博だけで終わるのではなく、次のけいはんなのステージをどう考え、どう実現させていくのか。また次のステージが非常に大きなステージとなるよう、我々も出来るだけ視野を広く、そして少し尖った活動がこの学研地域でできるようにこれからも頑張っていきたい。

    ○インフラ整備について

    ・高山地区第2工区は、1000名を超える地権者の意向集約、合意形成を図るための組織を昨年11月に立ち上げた。現在は600名超の方々に入会頂いており順調に進んでいる。一方、開発の中身については、有識者による懇談会の「とりまとめ」を基に、関係者および市の意向を盛り込んだ開発素案を作成し、国、奈良県、けいはんな学研都市の関係者などにもご相談しながらしっかりと進めて参りたい。最先端技術開発、人と人の繋がりの両者を組み合わせた形での日本全体の課題、国際的な課題解決のための実験場、挑戦の場所に位置付けていきたい。

    ・また、ここは精華・西木津地区と接しており、是非とも道路の開発を早急にお願いしたい。その為には府県市および推進機構の連携が必要ではないか。第2工区開発の暁には、学研都市拡張のフロンティアに是非なりたい。

    ・ICTやAIなど最先端技術を使ったモデルとして取組みが進められないかと考える。人口減少社会に入っても豊かに暮らしていくには、先端技術を使った都市生活の在り方をどう取り込むか。学研都市は実験都市でもあるので、先端的なスマートシティに向けてのトライアルを官民ともに力を合わせて進めていって欲しい。

    ○その他

    ・「新たな都市創造会議」について、発足して第3回の総会であるが、国の省庁をはじめ幅広い分野からの報告があり総花的となっている。将来を考える議論の場として、ここに立地している機関限定で総会のサブ的な会議体の設置を提案したい。

    ・スタートアップ企業について、最近、けいはんなにどんな会社があるのかを地道に勉強し始めた。具体的には、様々なスタートアップ企業の社長と話をすることをやってきている。結果、なかなか面白い会社が多いと感じている。進んだ考えを持った凄い会社が近場にあることを思い知った。

    ・ボイストラは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでに、外国人観光客を言葉の壁のない社会で迎えるため多言語翻訳技術を社会実装せよという国のプロジェクトの下、研究開発を進めている。この技術は正にけいはんなの地で生まれ育ってきたもの。けいはんな発の技術が様々なものに社会実装されている。

    ・今「サスティナブル」という言葉が一番重要になりつつある。次世代の若い人がいかにこれを継承していくかという観点が必要。

    ・けいはんな学研都市は、これまで30年掛けて百数十の研究施設が立地し、成果を上げてきて頂いた。これからはこの先20年のことを考えて、21世紀の理想的な都市を創っていくという目標を掲げ、皆さん方の研究成果が実際に社会で使われていることを考える段階に来ていると思っている。