大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム

2018ナノ理工学セミナー

量子の世界とナノテクノロジー

― 大阪大学豊中キャンパスからけいはんなラボ棟へ中継 ―

日 時: 平成30年11月20日(火)9:50~17:10

場 所: けいはんなプラザラボ棟10F 「RDMM支援センター室」 (←クリックで地図表示)

主 催: 大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム

共 催: 大阪大学ナノサイエンスデザイン教育研究センター

大阪大学産業科学研究所産業科学ナノテクノロジーセンター

連 携: 関西文化学術研究都市推進機構 RDMM支援センター

開催趣旨: 

量子コンピュータの進展により、量子科学領域に対する注目が集まっている。コンピュータ分野以外にも、量子の物性・挙動を解析し、新たなセンサーやアクチュエータに応用する試みは数多く行われてる。本セミナーでは、この領域における最新技術やデバイス、機能材料等への展開について報告する。

プログラム

9:50-10:00

開会挨拶 大阪大学 コンソーシアム代表理事 伊藤正

10:00-10:50

超分子修飾カーボンナノチューブによる熱電発電

  野々口斐之 氏 (奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科 助教)

要旨:カーボンナノチューブ(CNT)の熱電材料としての可能性が拓かれつつある。1998年にCNTの熱電物性が報告された後、長らく黎明期を迎えたが、近年、環境発電の要請からその性能競争が世界規模で激化している。その傍ら、ドーピングといった本質的な研究技術や構造物性相関は長らく未開拓であった。本講演ではCNT熱電研究の位置づけとともに、分子ドーピングを始めとする講演者が近年取り組んできた基盤技術開発を紹介する。

10:50-11:40

フォノンエンジニアリングによる半導体の熱伝導制御

 野村政宏 氏 (東京大学 生産技術研究所 准教授) 

要旨:様々な半導体デバイスで構造微細化による高性能化・高機能化が進展し、環境発電の必要性からナノ構造を用いた熱電材料開発が進んでいる。そのため、ナノ・マイクロスケールでの熱伝導を深く理解し、その理解に基づいた熱伝導制御技術を確立することがますます重要になってきている。本セミナーでは、半導体薄膜に多様なナノ構造におけるナノスケール特有の熱伝導をフォノン輸送の視点から紹介する。また、これまでにどのような知見が得られどの程度制御できるのかを紹介し、応用への展望を述べる。

11:40-12:30

量子コンピュータ研究の現状

  伊藤公平 氏 (慶応義塾大学 理工学部 教授)

要旨:世界で進む量子コンピュータ研究を概観し、今、なぜ量子コンピュータが注目されているのか、どのように量子コンピュータが役立っていくのかを解説する。また、慶應義塾大学理工学部が米国IBMと共同で取組む量子コンピューティング研究を紹介する。

12:30-13:30   休憩

13:30-14:20

熱機能ナノ構造の開発とマテリアルズ・インフォマティクスの活用

  塩見淳一郎 氏 (東京大学大学院 工学系研究科 教授)

要旨:理論・数値解析、構造作製、熱輸送計測をマルチスケールに組み合わせた「フォノンエンジニアリング技術基盤」を活用して、ナノスケールや界面構造による熱輸送の制御を行うストラテジ、および熱電材料や断熱材への応用例を紹介する。また、これらの熱科学と情報科学(機械学習)を組み合わせたマテリアルズ・インフォマティクスの手法の開発および、実際の熱機能材料開発の実施例を紹介する。

14:20-15:10

ディスプレイドライバーにおける量子ドット材料の展開

  結城正記 氏 (AGC株式会社 事業開拓部)

要旨:本年はLCD開発50周年にあたり、TFT-LCDを中心にフラットパネルディスプレイ:FPDは今日、生活やビジネスのあらゆるシーンで用いられ高度情報化社会を支えている。FPDは更なる表示特性の高度化(高臨場感、HDR:High Dynamic Range)に向って開発が進められ、その中でも特に重要な「表示の色再現特性」の高度化において量子ドット材料の適用が検討されている。本講演ではその開発動向と可能性を概観する。

15:10-15:30   休憩

15:30-16:20

金属ナノ粒子の特性を利用した複合系固体触媒の開発

  實川浩一郎 氏 (大阪大学大学院 基礎工学研究科 教授) 

要旨:遷移金属をナノ粒子化して規則性構造を持つ固体表面に固定化すると、両者 が複合化したことにより選択性や活性などに関して、環境調和型の「ものづくり」に適応した新しい機能が発現する。従来の固体触媒では見られなかったこのような機能は、分子論的な触媒設計法に基づいてナノ粒子触媒を調製したためである。今回はナノ粒子化触媒の設計指針と、その触媒を用いたファインケミストリーに適用可能な官能基変換反応について紹介する。

16:20-17:10

量子シークエンシング技術

  谷口正輝 氏 (大阪大学 産業科学研究所 教授) 

要旨:DNAの塩基配列を安価で高速に読み出す究極の技術が、量子力学を用いたシークエンシング技術と考えられている。この技術は、遺伝子に基づく精度の高い健康診断やがんの早期発見にとどまらず、家畜の健康管理や農産物の産地管理など応用領域が多岐に渡り、新たな産業を生み出すと期待されている。量子シークエンシング法は、DNAの塩基配列だけでなく、現在の技術では直接計測できないRNAの塩基配列やペプチドのアミン酸配列等を決定することが可能となる。

参加費:「けいはんなR&Dイノベーションコンソーシアム」会員は無料   

参加登録

けいはんなR&Dイノベーションコンソーシアム会員の方は下記のURLからお申込みください。

https://www.kri.or.jp/contact/_nano_seminer2018.html

非会員の方はお手数ですが、

大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム事務局へお問い合わせ下さい。

E-mail: nano-cons@nanoscience.or.jp, HP:http://www.nanoscience.or.jp/

申込締切:2018年11月13日(火) 会場の都合上、先着20名様とさせて頂きます。

問い合わせ先:関西文化学術研究都市推進機構 RDMM支援センター(rdmm@kri.or.jp)